電気料金の削減というと、LEDや太陽光、コンプレッサー更新などの設備投資から検討しがちです。しかし、最初に行うべきはいま、どこで、いつ、どれだけ電気を使っているかを揃えることです。数字がないまま見積もりを集めると、投資効果を同じ条件で比べられません。
最初に揃えるのは「12か月分の請求明細」
単月の明細だけでは、季節変動や最大需要電力の影響が見えません。まず12か月分を並べ、使用量、請求額、契約電力または最大需要電力、力率、燃料費等の調整項目を同じ表にまとめます。
←→ 横にスクロールできます
| 見る数字 | 確認したいこと | 現場への質問 |
|---|---|---|
| 使用電力量 | 季節・生産量との連動 | 増えた月に何を生産したか |
| 最大需要電力 | ピークが発生した月と時間 | 大型設備が同時起動していないか |
| 力率 | 請求上の扱いと変化 | 進相コンデンサの状態を確認したか |
| 調整項目 | 単価変動の影響 | 使用量削減と単価対策を分けたか |
削減余地は5つの順番で見る
- 使っていない時間:停止日や休憩時間のベース負荷を確認する
- ピークの重なり:大型設備の起動や加熱工程が集中していないかを見る
- 設備ごとの差:同じ工程・同じ機種で消費量に差がないか比べる
- 運転条件:温度、圧力、照度などが必要以上の設定になっていないか確かめる
- 調達と設備投資:運用を整えた後で、契約・更新・発電設備を比較する
ポイントは、設備投資を否定することではありません。投資前に運用ロスを切り分けておくことで、必要な設備容量と期待効果を過大に見積もらずに済みます。
朝会で決めるのは「誰が、いつ測るか」
改善を進めるには、工場長だけが明細を読む状態から抜ける必要があります。電気主任技術者、設備保全、生産管理、経理で一枚の表を共有し、ピークが出た日の操業を振り返れるようにします。
最初の一歩は、削減目標を決めることではなく、毎月同じ数字を同じ担当者が見る状態をつくることです。
一度にすべての設備を計測する必要はありません。金額影響が大きく、運転時間を把握しやすい設備から仮説を立て、必要な箇所だけ追加計測します。その順番が、改善を早く、安く進めます。
編集確認
株式会社恒電社 編集部
製造業の電気設備・自家消費型太陽光の現場に携わる立場から、実務上の誤解を招かないかを確認しています。